京都市、就労継続支援B型事業に「総量規制」導入へ
これからは“量”より“質”が重視される時代に。
京都市が、大きな方向転換を打ち出しました。障害のある人が働く場を提供する「就労継続支援B型事業」について、新規の事業所指定や定員増を制限する「総量規制」を導入する、というものです。
どうして規制が必要になったのか?
B型事業所は、一般就労がむずかしい障害のある人に、作業や活動の場を提供する大切な仕組みです。ここ数年、京都市では事業所数が一気に増え、多様な人が参加できる環境が広がってきました。利用者にとっては「選択肢が増える」ことは一見プラスに思えます。
しかし、急増は同時にいくつかの問題も生んでいます。
- 事業所同士が利用者を奪い合うような競争が起きている
- 限られた人材や運営資源が分散してしまい、全体の質が下がる恐れがある
- 市が計画(ほほえみプラン2024-2029)で見込んだ必要数をすでに大きく上回っている
こうした背景から、市は「このまま数を増やし続けるのは逆効果だ」と判断したわけです。
「総量規制」とは?
今回導入される「総量規制」とは、供給量が計画を超えた場合、新しい事業所を認めなかったり、既存事業所の定員増を認めない仕組みのことです。つまり「もうこれ以上は増やしません」という線引きを、市がはっきり決めるということになります。
これからどうなるのか
総量規制の導入は、ただ数を制限するだけではありません。「今ある事業所をどう育て、どう支えていくか」という質の時代に入った、とも言えます。これからは、
- 既存事業所が安定して運営できるような支援
- 利用者一人ひとりに合ったきめ細やかなサービス
- 地域社会とのつながりを深める工夫
といった部分がますます重視されていくでしょう。
このニュースは事業所関係者だけでなく、地域に住む私たちにも関係のある話です。
障害のある人が安心して過ごし、社会とつながる場をどう守っていくのか。そのバランスをとるための大きな決断が、今回の総量規制導入だといえます。
「数を増やす時代」から「質を高める時代」へ。京都市の動きは、これからの福祉のあり方を考える上で、一つの転換点になりそうです。