不動産を貸していると、入居することがあれば退去して空室になることもあります。
店舗は住宅と比べて家賃も多額なケースが多いので、長期空室になると大きい損失ですよね。
ところで
「なぜ空室になるんだろう」って考えてみたことありますか?
仕事がら解約には多く立ち会ってきました。
退去理由をみると事業用物件ならではといえる理由があったりします。
解約のときは借主に理由をたずねて家主に報告するのですが、これまで私が経験した代表的な解約理由を紹介したいと思います。
もっとも多いのは、営業不振です。
それには起因する理由があって
空室原因を理解すると募集の参考にできるので、解約時は理由を尋ねるようおすすめします。
●ライバル出現による営業不振
順調に営業されていた店舗でしたが
新しく近くにできた競合店に顧客が流れ売上が急降下したため閉店されてしまいました。
人気の場所であるほど、競合店や類似店がその後も出店する確率は高くなります。
常に研究されて
ライバルが現れるのは一部をのぞきどの業界でも通じることでしょう。
心やすむ暇もありませんね。
ちなみにこのときは、とても人気の有る店が近くにできてしまいました。
そのあと居抜で募集したのですが、勝ち目が薄いと感じた同業種からは出店見送りの御返事が相次いだことを覚えています。
● 客層の変化による営業不振
先日も久しぶりに訪れた街の風景が変わっていました。
街は変化を繰り返しているので、いつのまにか店舗前の通りを歩く客層が変わってしまうことがあるんですね。
旺盛に商売していた店舗も、歩く客層やエリアに住む方が変化して、やっていた商売が適さなくなることがあります。
一方で特性が変わることで「空いたら教えて欲しい」と全く違う業種から多数ラブコールをうけることがあります。
●人材不足
特にキーマンとなるような人材。
料理長がやめたり、優秀な人材の退職は大きい影響があって、人手不足による撤退はたくさんみてきました。
会社の問題もあるかもしれませんが、人を育てても優秀な人材ほど早くやめるといいますが。
定着してもらうのは簡単ではありませんね。
● 他の事業(店舗)が足をひっぱる
利用者も残念がるパターンですが、単独店では黒字でも事業全体で赤字をだし撤退することがあります。
広げすぎて急な拡大にスタッフが疲弊したり、人員配置に無理が生じているようなことも見てきました。
経営陣次第でここは変えられるのかもしれません。
●流行の変化
ブームとよばれるものは一定期間の後次のブームにとって代わられやすいといえます。
流行り廃りだけでなく、消費行動にあわあせて業態も変化しています。
コンビニを例にすると10年の間に店内ではATM、イートインスペース、珈琲やおでん、ドーナツを置くなど消費者ニーズのために売場拡張してきました。
結果、以前のサイズが適さなくなり移転先を探すということがおきます。
● 外的要因
政治的な規制や災害など、個々の努力では避けられないことがあります。
例えば
たばこの吸える場所を限定する。
増税対象に指定される。
クラブに対する営業時間規制。
風評被害。
これらは消費者の行動に直接影響をあたえるもので避けることができません。
一方で、何もしていないのに外的要因でよくなることもありますよ。
近くに駅ができて、一等地に変わって売上増という本人の努力がないことも。
●黒字でも退店することがあります。
家主さんと話していると、赤字だから退店すると思う方が多いのかな?
と感じます。
つまり、家賃を支払えなくなったら退店するという考えだと思いますが
お店は黒字でも退店しますし、経験的には個人店よりチェーン店に特に多くみられます。
「名のある会社に借りてもらえて安心だ」と思っていても1年足らずで退店は珍しくなく、まぁそういうものだと思いましょう。
一概にいえませんが、個人店の方が意外と頑張ってくれて結果的に長く家賃が入ると考えることもできますね。
なぜ黒字でも退店するかというと、十分に利益が欲しいから出店するのであって、家賃を支払いたいわけではないからです。
「利益が目標に到達しない」と別の立地を探したり、撤退することにつながります。
● 好業績による拡張や移転
もっともポジティブな解約原因。
拡大のため次の店舗を探しもらえないか、と頼まれる事もあって、度々お世話してきました。
お店の場合は、好業績の場合も解約があります。
解約は残念ですが地域や住民の支持を受けた証で優良な借主に借りてもらえたということ。
繁盛したことをともに喜びましょう。
おかげで物件が認知度の高い場所になることもあって「出世物件」と呼ばれ良いイメージがつくこともあります。
募集時にひとつアドバイスですが
募集時にインターネットの掲載物件を比較するのも良いですが、掲載条件は貸したい希望価格なので、借主の借りたい希望価格とずれていることがほとんどのように思います。
どこまで参考にしていいものか、どうか
相場と比べて適正かどうか、仲介実績の多い不動産会社に相談することが大切です。
最後までお読みいただき有難うございました。
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